私には、一風変わった友人がいます。
日本人なんて1人もいないようなインドネシアの離島も離島に住んでいる日本人。
彼女のしてきた波乱万丈な旅の仕方は、
魅力的を超えて、尊敬をこえて、唖然をこえて、笑えるレベル(笑)
もう、何も驚かない閾値に達しています。
そうね、久しぶりのLINEは
野生のジンベエザメ5~6頭と一緒に泳いでいる動画だったし(笑)
そんな彼女から、1通のLINEが届きました。
ここから先は、2人のヒトが1匹のネコの出産を支える様子をダイジェスト版で!
陣痛が始まったネコ、やってくる。

ネコの陣痛始まった!
と、送られてきてから2時間後。

今3匹目!

(笑)もう獣医なれば?
ちなみに彼女のいる村では獣医なんてものはいません。
獣医どころか人間の町医者(1人)もかなり評判が悪く、薬は自然療法がほとんどなんだとか。
住民の中には医者よりも彼女の意見を求めてくる人がいるほど。
元々オーストラリアで動物のお世話をすることが多かった彼女は、今いる島でもケガをした動物を保護して野生に返したり、事故にあった動物の最期を見届けたり、と、できる範囲でいろんなことをしています。
…したいわけじゃないそうなんだけど(笑)
なんだか動物と住人の方からやってくるそうな(笑)

あかん2匹目、かなり小さくて皮膚がすけてる。しかも母乳でない。3匹目じゃないんか?陣痛みたいなのはあるんやけど。
なるほど、なるほど。

早産か低体重かやな。1匹目は普通の大きさ?乳房が成熟してないかもやから…
と、ネコに起こったことを考え、ヒトの場合の母乳の出るプロセスを伝えます。

ネコの立ち合いは初めてなんやけど、イヌは乳もはってたし、ちょっとつまんだら出てたんよ。吸ってい入るけどなぁ。今調べたら1匹目も小さいし、母ネコ大パニックかつ愛着が見えん。
なるほど、なるほど。

そのネコ、若い?多分自分の妊娠に気づいていなくて、めっちゃ動き回ってたんちゃう?
まず出産したことに大パニックやし母の自覚はないかもやな。正期産の低体重じゃなくて早産やと思うから母乳は時間かかるやろうけど、子ネコに吸う力がないやろうからとりあえず、刺激やなぁ。
そして翌朝、進捗が送られます。

最期の発情から考えたら2週間早い。でも妊娠期間65日やから2週間はかなり早いな。
3匹目はなくて、2匹目はやっぱりあかんかったわ。1匹目は手伝わなあかんけど、なんとか吸ってる。でも皮膚はやや薄いなぁ。人間でいう未熟児っていう感じがすごい。

ちなみに、母ネコはかなり動き回ってた。1歳10か月ぐらいかな。若いよね。自覚なかったんやと思う。痛みで大パニックで過呼吸で痙攣したり、瞳孔がひらいてたけど、少しずつ落ち着いて舐めだした。でも私がいくとこ、どこでもついてくる。
…すんげぇな!(笑)
いや、友人が。
なんていうか、動物のお世話の経験値の高さが。
ちなみにこのネコも彼女の飼い猫ではなく、彼女の家にやってくる野良猫。
ネコもええとこを出産場所に選んだなぁ、と思いつつ、なんだかヒトもネコも哺乳類なのか、と少し神秘的なところも感じます。
そういえば昔、私が担当した妊婦さんで霊長類の獣医さんがいたっけなぁ。
いつも介助する側だったし、ヒトとサルの胎盤の比較ができる!と、ご自身の出産をすごい楽しみにされていました。
きっといつか仕事復帰されたときに、より優しく温かくチンパンジーの出産に付き添われるのかなぁと思うと、想像しただけでほっこりします。
そんなことを考えながら、夜な夜な付き添った友人をねぎらいつつ、日本における未熟児の管理方法を伝えます。
加湿とタッチングを最小限にすること。などなど。
機材はゼロですが、インドネシアだし加湿はクリアか!?

あとお腹がコリコリするねん。2匹目が25gやったから3匹目小さいのが残ってたらどうしよう。直診しても未熟児やとやわらかいからわからんくて。

胎盤とかは出てきた?ヒトも出産後は子宮底かなり硬く触れるし、コリコリしてて出血も止まってたら大丈夫かも。遺残は最終はエコーにはなるけど、何もない状況なら、コリコリの持続と出血なない状態が続いてたらひとまずは心配ないかも。
などなど、起こりうる可能性と、子宮底マッサージの方法(ヒトの。笑)など、観察項目を伝えます。
どうやら母ネコのお乳は張ってきて、母乳は出てきた様子。
おぉ、頑張れ頑張れ。新米母ネコ!
とおもっていた翌日。

あかん、母ネコが子ネコ運びすぎて、キバささってもうたみたい。首の皮膚に穴あいてしもて。浸出液がすごい。ヒト用の抗生剤はあるけど…でも、多分あかん気がするわ。

あぁ…未熟児で皮膚の疾患はかなり大ダメージかも。
どうやら母ネコ、子ネコが弱っていく様子に大パニックなんだとか。
そうか、そうか。愛着ちゃんと湧いてきてたんやね。
でも小さいネコに皮膚のケガのダメージは大きく、静かに息をひきとっていきました。

もう何時間も母ネコないてる。私の腕まくらに小さい声でずっと。ちょっと離れると、足噛んでこっちきてって行ってくるねん。不安なんやろうなぁ。でも亡くなったのはわかってて、子ネコ探したりはせんわ。母乳はこのままほっといて大丈夫?

母乳は大丈夫、その程度なら自然吸収されて断乳されるし、張りもおさまってくるよ。多分、今あんたが離れると大パニックで鬱っぽくなる可能性もあるから、ちょっとそばにいてあげて様子観察やなぁ。食べれてる?

食べてる。普段食べへん蛇半分食べたりしてる。
おぉぉ…さすが野生。
すごい。
なんというか、産後はタンパク質をたべるんだよ!と、ヒトの母には栄養指導をしますが、ネコももう本能的にタンパク質を求めるんだなぁとおもうと、やっぱり哺乳類の出産の神秘的なところを感じます。
あ、でもカマキリも雄を食べるっていうし、あれか。
メスは卵でもお子でも産みだすっていうのは、すごいエネルギーを使うんだなぁ。
なんだかそう思うと、ネコや犬、魚や昆虫のママ達にも愛着が湧くような。…湧かないような(笑)
ちなみに母ネコは、少しずつ喪失のプロセスを受け入れ、身体も心も回復してきているんだとか。

キキ、哺乳類の助産師できるやん!
できるかぁっっ!!!(笑)
でも友人と2人3脚でママネコをサポートできた経験はちょっと誇らしかったりします。
二人三脚というか、実際に手を動かしてたのは友人だけど(笑)
設備も薬もゼロで動物の本能にまかせつつの出産を見守りサポートするのも大変だよね。
ちなみに彼女は、ネコの出産を見守った1週間後にオーストラリアのファームに飛ぶ用事があったのですが、
そこで到着早々豚4匹の出産を介助していました。
もちろん、そのために行ったのではないのですが、着いて2日後に陣痛が始まったんだとか(笑)
飼い主からネグレクトにあっていた母ブタの子なので、4頭も小さめだけどすくすく成長している様子。
ほんと、すっげぇわ、あいつ(笑)
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PS…ネコの出産の専門家の方が読むと、「おいおいおい」と思うこともあるかとおもうのですが、野生のネコの出産を素人2人がなんとかサポートしようとしたサバイバル日記だと思って読んでいただけますと幸いです。ぺこり。
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